治療開発パイプライン

 

 

JUMP70パイプライン

JUMP70プラットフォームによる選択的タンパク質修復
 
JUMP70プラットフォームの根幹はJUMP70タンパク質という治療タンパク質の設計です。
病態を引き起こす疾患タンパク質を特異的に認識する標的ドメインと、タンパク質品質管理機構を活性化するドメインを組み合わせることで、精密で疾患に焦点を当てた治療プログラムの創出を可能にします。
 
このアプローチにより、複数のパイプラインを開発しております。
ALSにおいてタンパク質折りたたみ異常を引き起こしているTDP-43を標的とするSOL-257、ポリグルタミン関連疾患を対象とするSOL-175、そしてパーキンソン病においてはタンパク質折りたたみ異常を引き起こすαシヌクレインを標的とするSOL-368などがその例です。
 
SOL-257は折りたたみ異常を引き起こしたTDP-43に結合し、タンパク質品質管理機構の活性を誘導することで、TDP-43の正常なタンパク質折りたたみを促すよう設計されています。
この作用により、運動ニューロンの機能改善が示されています。
 
これらの例は、JUMP70™プラットフォームが選択的に疾患を引き起こすタンパク質の折りたたみ異常を改善することにより、さまざまな神経変性疾患における根本原因に対処する可能性を示しています。

ALS治療薬SOL-257

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脳や脊髄の運動ニューロンが徐々に失われていく進行性の神経変性疾患で、最終的には筋力低下、麻痺、そして呼吸不全へと至ります。
その深刻さにもかかわらず、根本的な治療法は依然として限られています。
 
ALSの代表的な分子学的特徴の一つが、TDP-43タンパク質折りたたみ異常です。
この現象は、孤発性および遺伝性を含む患者さんの95%以上で認められています。
TDP-43タンパク質の構造異常は、神経毒性やALSの進行に関与すると考えられています。

SOL-257は、この課題に対応するため、JUMP70™プラットフォームを用いて開発された治療プログラムです。
TDP-43に特異的な標的ドメインとタンパク質品質管理機構を活性化するドメインを組み合わせることで、TDP-43タンパク質の構造異常を集中的に改善へと導きます。
タンパク質品質管理機構で重要な役割をする分子シャペロンであるHSP70を活性化することで、TDP-43の正常な折りたたみの回復と病的凝集の低減を目指しています。
 
前臨床研究では、SOL-257は次のような結果を示しました。
 
* ヒト細胞を用いた試験によりTDP-43タンパク質の折りたたみ異常の特異的改善
* これによりTDP-43タンパク質機能の改善
* 変異TDP-43を発現したマウスモデルでの試験において、TDP-43タンパク質の折りたたみ異常および毒性の改善
* これにより生存期間の延長
 
これらの結果は、SOL-257がTDP-43タンパク質の折りたたみ異常を改善することにより、多くのALS患者さんに対して根本的な治療法をもたらす可能性を示しています。

ハンチントン病(HD)治療薬SOL-175

ハンチントン病(HD)は、舞踏運動、ジストニア、動作緩慢、協調運動障害などの進行性の運動機能障害に加え、認知機能の低下を特徴とする遺伝性の神経変性疾患です。
米国では約3万人が発症しており、さらに20万人以上が親から遺伝するリスクを抱えているとされています。
 
HDの分子基盤は明らかになっています。
本疾患は、ハンチンチン(HTT)遺伝子のエクソン1におけるCAG三塩基反復配列の異常伸長によって引き起こされます。
その結果、ポリグルタミン(polyQ)領域が過剰に伸長した異常ハンチンチンタンパク質が生じます。
この伸長したpolyQ領域によりハンチンチンタンパク質は異常な立体構造をとり、タンパク質の折りたたみ異常を引き起こし、毒性のあるオリゴマーやより大きな凝集体として蓄積します。
 
折りたたみ異常を引き起こす病態ハンチンチンタンパク質の蓄積は、正常な細胞機能や神経細胞の健全性を損なうことで、HDの発症に中心的な役割を果たすと考えられています。
遺伝的原因は明確である一方で、現在のところHDを予防または根治する治療法はなく、利用可能な治療は主に症状の管理に限られています。

SOL-368 for Parkinson’s Disease (PD)

パーキンソン病(PD)は、主として運動機能に影響する進行性の神経変性疾患であり、振戦、筋強剛、動作緩慢(ブラジキネジア)、姿勢不安定などの症状を呈します。病態の進行に伴い、認知機能低下、気分変化、自律神経障害などの非運動症状を認める患者さんも多くいます。PDは世界中で数百万人に影響しており、現行の治療は主として症状の管理に限られ、疾患進行そのものに対する治療法には制限があります。
 
SOL-368は、JUMP70に基づく治療プログラムであり、パーキンソン病の中核的な病理ドライバーであるタンパク質構造異常を引き起こしたα-シヌクレインを選択的に標的化することを目的として設計されています。α-シヌクレイン特異的な標的化ドメインと、タンパク質品質管理機構を活性化するドメインを組み合わせることで、疾患を引き起こすα-シヌクレインのタンパク質構造異常を特異的に改善するように設計されています。

パーキンソン病では、タンパク質構造異常を引き起こしたα-シヌクレインが神経細胞内に蓄積し、毒性を有するオリゴマーや凝集体を形成して細胞機能を障害し、神経変性に寄与します。SOL-368は、正常なα-シヌクレインを温存しつつ、タンパク質の折りたたみ異常を引き起こしたα-シヌクレインを認識することで、病原性のα-シヌクレイン種を選択的に除去する設計をしています。
 
JUMP70プラットフォームを用いて開発されたSOL-368は、α-シヌクレインのタンパク質構造異常に起因した症状および神経細胞機能の改善を目標とします。本プログラムは、疾患特異的な標的化を行うことにより、JUMP70プラットフォームが多様な神経変性疾患へ適用可能であることを示す例です。